高齢者講習は何をする?何歳から受ける?内容や料金、ルールを徹底解説
- 2022.12.22
- 運転免許豆知識
70歳以上の免許更新希望者は、70歳未満の方とは異なる流れで免許を更新する必要があります。
70歳以上の免許更新希望者は、免許を更新するにあたって、高齢者講習を受講する必要があるためです。
この記事では、その講習の内容や料金、ルールについて詳しく解説します。
高齢者講習とは?
「高齢者講習」とは、満70歳以上の運転免許証保有者が、免許更新の際に受ける必要がある講習のことです。
自動車の運転では、咄嗟の判断力や動体視力が、事故を避け、安全運転を心がけるために必須の技能とされています。
高齢になると、そういった機能がどうしても低下してしまう上、認知症などにより運転に適していないと判断される場合もあります。
実際にある調査によれば、令和3年の高齢者が関係する人身事故の発生率は全体の34.7%を占め、中でも自動車同士の事故が多い傾向があります。
事故率の高い高齢者の運転の事故を少しでも防ぐために行われている取り組みの一つが「高齢者講習」なのです。
日本の運転免許保有者における高齢者の割合は、高齢化の影響を受け年々、増加の一途をたどっています。
それに伴い、高齢者講習の需要も年々高まっているのが現状です。
70歳以上の免許更新希望者が対象
運転免許証の更新期間は、基本的に誕生日の前後1ヶ月間が対象となります。
これは高齢者に限らず、全年齢層共通です。
高齢者講習の対象となるのは、免許証の更新期間が満了する際に、満70~74歳であるという方です。
高齢者講習は、免許更新期間が満了する6ヶ月前からの受講が可能で、講習受講が完了していなければ、基本的に免許を更新することが出来ません。
75歳以上は「認知技能検査」や「運転技能検査」が必須
満75歳以上の高齢者の場合、高齢者講習とは別に「認知技能検査」と「運転技能検査」を併せて受講する必要があります。
これは義務となっています。
「認知技能検査」では記憶力・判断力に関する検査が行われ、自動車の運転に必要な認知機能の有無を確認。
検査において認知機能の低下が見られなかった場合には、70~74歳と同様に高齢者講習の受講によって免許更新が可能です。
一方で、認知機能低下が著しく見られた場合には、臨時適性検査や医師の診断が行われます。
「認知症」という診断を受けた受講者は免許更新が出来ず、免許停止または免許取り消しとなってしまいます。
ちなみに、運転技能検査に関しては75歳以上の全員が対象ではありません。
75歳以上で過去3年間に信号無視、スピード違反、踏切不停止、携帯電話の使用など11種類の違反に該当した方が対象となります。
こちらに合格して初めて認知技能検査に進むことが出来ます。
「運転技能検査」は、高齢者講習を受講可能な期間中であれば繰り返し受講が可能です。
ただし、更新期間満了日までに合格出来なかった場合には免許更新が出来なくなってしまいます。
75歳以上であっても、70~74歳と変わらず高齢者講習の受講もあわせて必要ですので、時間に猶予を持って行うようにしましょう。
高齢者講習の受講方法
運転免許更新期間満了日の約190日前に、高齢者講習受講に関するハガキが届きます。
期間については自治体ごとに異なる場合があるので、必ず自身の都道府県ではどの程度の期間が設けられているかを確認してください。
ハガキに記載された運転免許試験場、または自動車教習所に高齢者講習の予約を入れることで受講が可能となります。
各都道府県の公安委員会が業務を委託している指定の場所でなければ高齢者講習は受講できないので、その点に注意しましょう。
教習所が少ない地域では、なかなか高齢者講習の予約が取れないこともありますので、ハガキを確認次第、早めに予約するようにしましょう。
また、やむを得ず、運転免許証の所在地とは別の都道府県で高齢者講習を受ける必要がある場合には「特定任意高齢者講習」の受講が可能です。
内容は通常の高齢者講習と全く同じものですが、事情があり別の都道府県に在住している方や、予約が取りにくい地域に住んでいる方などには便利な仕組みと言えるでしょう。
ただし、受講が出来るかどうかについては、事前に受講先の都道府県運転免許センターに問い合わせ確認を取りましょう。
高齢者講習の内容
高齢者講習は2時間にわたって行われ、座学・運転適性検査・実車の3種類を受講します。
詳細な講習内容は以下のとおりです。
【1】座学
座学では、DVDなどで交通ルールや安全運転の知識を再確認しながら教習指導員の質問に解答していきます。
道路交通の現状や、交通事故の実態に関する認識を深めたり、運転者としての心構え、安全運転の知識を改めて知っていくという内容となります。
運転免許取得時期にもよりますが、日々道路交通に関する情報は刷新されていくものです。
座学の講義を通し、道路交通法の改正によって高齢者の免許制度が現状どうなっているかについても学ぶことが可能です。
また、認知機能や身体機能に変化が現れている状態に即した安全運転を心掛けることの指導も受けられます。
人口密集地域では特に、交通事故の実態を知り、自身が事故を起こす可能性を未然に減らしておく心構えが不可欠と言えるでしょう。
座学の講義にかかる時間は約30分です。
必要に応じ、教習指導員に質疑応答を行うことも可能なので、交通安全に関する認識を深めるためにも積極的に講義に参加するようにしましょう。
【2】運転適性検査
高齢になるにつれ、身体能力が低下していくのは当然です。
そのような状況の中でも、安全に運転を継続していくために運転適性検査も実施されます。
行われるのは主に次の4つの検査です。
- 静止視力
- 動体視力
- 夜間視力
- 視野検査
視力に異常がないと感じていたとしても、実際に検査を行ってみると低下しているという結果が出る場合もあります。
運転免許の保有に必要な視力は免許の種別によって異なりますが、普通免許であれば両目0.7以上、片目0.3以上が必要と定められています。
裸眼ではなく、メガネやコンタクトレンズを使用した矯正視力でこの規定をクリアすれば良いので、事前にメガネ店や眼科で度数が合っているかを確認しておきましょう。
運転適性検査にかかる時間は約30分程度です。
高齢者講習の段階で運転適性検査に合否の判定はなく、最終的に免許更新の際に行われる視力検査の結果次第で免許の更新が可能となります。
【3】実車
高齢者講習には実車の運転を伴う内容も含まれています。
教習所のコース内で定められた課題をクリア出来るかどうかの見極めが行われるのです。
内容としては、右折、左折、信号通過、クランク、S字カーブ、一時停止、段差乗り上げ、指示速度による走行となっており、これらを適切に判断し走行出来るかが問われます。
こちらも試験ではなく講習なので、もしクリア出来ていない部分があったとしても、教習指導員が適宜指導をしてくれます。
実車にかかる時間は約1時間です。
高齢者講習の料金
高齢者講習の料金は、講習内容によって変わります。
普通自動車運転免許の更新には2時間の高齢者講習が必要となりますが、料金は6,450円です。
原付や、二輪、小型特殊、大特の免許を更新する場合は実車の講習がないので、高齢者講習自体が1時間で終了します。料金は2,900円です。
また、75歳以上の方が対象の認知機能検査の料金は1,050円、運転技能検査は3,550円となります。
高齢者講習を受講済み、という方は免許更新の際の講習手数料の支払いが免除されるので、更新手数料として支払う2,500円以外の料金は発生しません。
高齢者講習に合格・不合格はある?
高齢者講習は試験ではないので、合格・不合格の判定はありません。
これは、高齢者講習が公安委員会が行う適性検査ではなく、合否の法的根拠がないということが理由です。
しかし、運転などに多くの懸念点が見られた場合には、教習指導員から指導を受けることがあるので注意しましょう。
事前に講習の内容を確認し、スムーズな受講を心掛けておけば安心です。
受講後には「高齢者講習修了証明書」というものが発行されます。
高齢者講習を受講した後の流れ
高齢者講習を受講し「高齢者講習修了証明書」を発行してもらったら、後は各都道府県の運転免許センターにて免許更新を行います。
免許更新期間が誕生日の前後1ヶ月であるのに対し、高齢者講習は6ヶ月前から受講が可能なので、期間が空く可能性もあります。期限忘れに十分に注意しましょう。
また、基本的に高齢者講習を受けていれば免許更新時にはほとんどの講習が免除されますが、適性検査だけは実施されます。
ここで、視力に問題が見られた場合は、高齢者講習時に規定をクリアしていたとしても免許更新が認められません、
また、運転免許証の持参が必要となるほかに、案内ハガキ、高齢者講習修了証明書の持参が必要ですので忘れないようにしましょう。
70歳以上の免許更新は高齢者講習が必須!
年々増加傾向にある高齢者の自動車事故を防ぐためにも、一人ひとりの心がけがより一層大切になっている現代社会。
高齢者講習は、そんな高齢者の安全を守るために、満70歳以上の運転免許保有者に義務付けられているものです。
「自分は大丈夫」と思っていても、身体能力や認知機能の低下が起こっている可能性もあります。
だからこそ、自己判断に頼らず第三者の目線で状況を検査することが必要なのです。
また、高齢者講習のニーズが増えているため、多くの教習所で予約がなかなか取れないという状況が散見されています。
免許更新期間に間に合うよう、ハガキが届き次第早めに予約するように心がけましょう。
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