合宿免許で免許取得後は事故率が高いと言われるのはなぜなのか
- 2022.02.16
- 運転免許豆知識
これから免許取得を考えていらっしゃる方で、合宿免許と通学免許を迷われている方も多いのではないでしょうか。
そんな時、ネットで「合宿免許で免許取得後は事故率が高い」というような噂が流れていれば、気になりますよね。
でも、その噂は本当なのでしょうか?
この記事では、「合宿免許で免許取得すると事故率が高い」と言われているのはなぜなのか、という疑問への答えと、実際はどうなのかということをお伝えしていきます。
合宿免許を迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
合宿免許だと事故率が高いと言われるのはなぜか?
合宿免許は、通学免許よりも大概の場合安く、また短期間で免許が取れます。
そのことから、合宿免許に対して次のようなイメージを持つ人が多いようです。
イメージ1:料金が安く短期間なので審査が甘い
先に述べたように、合宿免許は、通学免許よりも安い料金に設定されていることが多いです。
また、最短14日間という、通学免許に比べたらはるかに少ない日数で免許取得ができます。
したがって、「安くて早い」というイメージから、「教習所はその期間内で無理やり卒業させるため、審査が甘い」とか、「料金が安いので、次々に教習生を入れないと儲けが出ないから、審査を甘くしてすぐ卒業させる」などという噂が出回っているのです。
イメージ2:詰め込みで練習するので運転技術が身につかない
もう1つのイメージは、短期間に詰め込みで練習するため、運転技術がきちんと身につかないまま卒業するのではないか、というものです。
通学免許では、何か月もかけて練習するのが普通ですから、「ほんの何日か練習しただけで、本当に大丈夫なのか」と思う人がいても、不思議ではないかもしれません。
合宿免許のイメージに対する反証
しかし、これらのイメージは、事実に基づいているかというと、そうでもありません。
二つとも、理論的に反証が可能です。
ここでは、先ほどのイメージに対する理論的な反証を述べていきます。
反証1:審査が甘いと教習所と教官の評価が下がる
教習所によっては、卒業生がどのくらい運転免許センターでの試験に合格しているかという合格率や、卒業後の事故率などの統計を取って明らかにしているところもあります。
もし、審査を甘くしていれば、試験の合格率が低かったり、事故率が高くなってしまったりするでしょう。
そうすると、教習所に対する信用が落ち、評価が下がってしまいます。
そんなことのないように、教習所側は、技術や知識が身についていない人を、期間が来たからといって卒業させたりはしません。
実際には、合宿免許でも仮免試験や卒業検定で落ちる人は一定数存在しており、運転免許を与えても良いと判断される技術と知識を修得しなければ、卒業できないのが事実です。
また、もし仮に審査を甘くしたとして、その教習生が事故を起こしたら、担当した教官の信用にも傷がつくでしょう。
教官の責任問題になってしまい、教官の第二種免許に傷がつくことにもなるかもしれません。
そうなると、教官にとっても不利ですから、そんなリスクを背負ってまで審査を甘くすることはありません。
さらに、甘い審査で仮免を取らせて路上に出したとしたら、その時点で事故の確率が高まります。
そうすると、教習所が事故の後処理をしなければならないので、教習所側は事故を極力避けたいと思うはずです。
つまり、審査を甘くするメリットなど、教習所側には皆無なのです。
反証2:詰め込みで練習した方がむしろ運転技術は身につく場合も多い
一方、「短期間なので、運転技術が身につかない」というのはどうでしょうか。
例えば、スキーを初めて習う人が、年間1日だけ5年連続で講習を受けるのと、5日間連続で講習を受けるのでは、どちらが技術を身につけるのが早いでしょう?
1日だけでは、最初は基礎だけ習って終わってしまう上に、毎年基礎を思い出すだけで終わってしまい、ちっとも技術は身につかないのではないでしょうか。
しかし、5日連続でみっちり講習を受ければ、確実に初級者レベルまでは滑れるようになります。
つまり、短期間に集中してみっちり練習した方が、技術は身につきやすいと言えるのです。
これは、運転技術に関しても同じことでしょう。
合宿免許で免許取得をした人の事故率は本当に高い?
では、合宿免許で免許取得をした人の事故率は本当に高いのでしょうか。
ここに、令和元年の千葉県内指定教習所卒業者の交通事故件数というデータがあります。
引用元:千葉県警察「千葉県指定自動車教習所卒業者の交通事故者率(令和元年)」
しかし、これを見るだけでは、どの教習所が合宿免許を行っているのかわかりません。
また、合宿免許と通学免許別々のデータもありません。
したがって、合宿免許での事故率に関する正確なデータはない、ということになります。
つまり、「合宿免許で免許取得後は事故率が高い」という客観的な証拠はないということです。
初心運転者の事故はなぜ起こるか
ここで、初心運転者の事故はなぜ起こるのかを考えてみましょう。
運転免許を取得してまだ日が浅い時は、運転に慣れていないことから起こる事故があります。
それが「事故を起こしやすい状況」です。
この状況では、ベテランのドライバーでも事故を起こしやすいですが、初心運転者に関しては飛躍的に事故率が上昇してしまうようです。
以下に、3つの「事故を起こしやすい状況」を挙げます。
事故を起こしやすい状況1:夜間
夜間は、暗いため昼間に比べて周囲が見渡しにくいということがあります。
昼間なら問題なく気づけることも、気づくのが遅れて操作が間に合わないという可能性が高まるのです。
また、夜遅い時間になると、交通量が少なくなることから、ついスピードを出してしまうということも、初心者にはよくあります。
スピードが速くなれば、それだけ事故を起こすリスクが高まってもおかしくありません。
また、ほとんどの合宿免許では、夜間の教習はありません。
したがって、教習生は卒業して初めて夜間の道を走行するわけです。
初めて夜間の道を走る時には緊張する方も多いので、事故の確率が高まってしまうとも言えます。
事故を起こしやすい状況2:雨の日
雨の日は、濡れた路面が光を反射して、白線や道路標示などが見えにくくなります。
水たまりでスリップしてしまうこともあるでしょう。
ワイパーが動くのも、慣れるまでは集中力を削がれるかもしれません。
教習中一度も雨が降らないということは、あまり考えられませんが、時期と地域によってはあり得ます。
したがって、雨の日の運転に慣れていないうちは、事故を起こしやすくなると言えます。
事故を起こしやすい状況3:交通量が多い道
合宿免許では、地方の教習所が人気です。
料金が安いから、というのと、旅行や観光を兼ねて合宿免許に行く人が多いからです。
でも、田舎に行けば行くほど、交通量の少ない、広い道で練習することになります。
それで免許を取得できて、いきなり都会の道を走ろうとすると、全く勝手が違ってしまいます。
前後を走る車の車間距離も全然違いますし、ただ車が多いというだけで、緊張して操作をミスってしまうこともあり得るでしょう。
慣れていないと、前の車のブレーキに気づかず追突したり、車線をはみ出して正面衝突したり、車線変更の際に確認ミスで衝突したり、などということも多いのです。
したがって、交通量の多い道は、初心者にとってかなりハードルの高い状況と言えます。
合宿免許で事故率が高くなるとすれば…考えられる理由!
このように、事故を起こしやすい状況というのがいくつかあります。
これを鑑みて、仮に合宿免許で事故率が高くなるとすれば、どういう理由があるのか挙げてみます。
理由1:乗り慣れていない道を走るから
合宿免許は、地元で取ることはできません。
必ず他県に赴くことになります。
そのため、普段走る道で練習できないというデメリットは確実にあるでしょう。
合宿免許で人気があるのは、たいてい自然豊かな田舎やリゾート地です。
そこで天気のいい日に昼間だけ、交通量の少ない道で練習するとしたら、都会の雨の日の夜間などは、かなりのギャップを感じるでしょう。
そういった、「乗り慣れていない道を走る」から、という理由はあり得ると言えます。
理由2:すぐに運転しないから
合宿免許で免許取得した人で、すぐに毎日車に乗る機会がある、という人は、意外と少ないのではないでしょうか。
合宿免許は、「18歳になったら身分証明書代わりに取る」という人も多いからです。
そうすると、せっかく運転を覚えても、使わなければすぐに忘れてしまいます。
それで、久しぶりに乗ろうとすると、運転感覚が鈍っていて、注意が行き届かず事故ってしまう、ということがあり得るでしょう。
つまり、「すぐに運転しないから」という理由も納得できると言えます。
安心して合宿免許で免許を取ろう!
ここまで、「合宿免許の事故率が高い」という噂について、検証してきました。
もうお分かりかと思いますが、合宿免許の事故率は通学免許に比べて高い、ということに客観的な根拠はありません。
噂の根拠になっているイメージも理論的に反証できましたし、事故を起こしやすい状況は、通学免許で取った人にも言えることです。
「乗り慣れていない道」も、自宅の最寄で免許を取った人以外には言えることですし、「すぐに運転しないから」も誰にでも言えることでしょう。
したがって、「合宿免許で免許取得後は事故率が高い」は、根拠のない噂であると言えます。
ここには書きませんでしたが、合宿免許には、メリットもたくさんあります。
根拠のない噂に振り回されず、安心して合宿免許を検討してください。
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