異業種から教習指導員に転職はしやすい?実例を元に解説します。

異業種から教習指導員に転職はしやすい?実例を元に解説します。

学校を卒業して別の仕事に就いたものの、その後転職して教習指導員になった人も多くいます。

あまり知られていませんが、自動車教習所の教官の正式な名称は「教習指導員」で国家資格ですので、勉強して試験に合格しなければなることができない職業です。

この記事では、異業種から教習指導員への転職について取り上げて、実際に転職した方の事例を紹介しながら、その魅力や転職のしやすさなどについて解説します。

「教習指導員」とは?

教習指導員とは、道路交通法第99条の3第4項に基づいて「教習指導員資格者証」を交付された者のことで、指定自動車教習所で学科と実技の教習を行うことができます。

以前は、学科教習を行う学科指導員と技能教習を行う技能指導員が別々の資格になっていましたが、1993年の道路交通法改正によって、現在のような教習指導員資格になりました。

教習指導員の種類

教習指導員には、次のような11の種類があり、その合格者には資格者証が交付されます。

  • 教習指導員資格者証(大型)
  • 教習指導員資格者証(中型)
  • 教習指導員資格者証(準中型)
  • 教習指導員資格者証(普通)
  • 教習指導員資格者証(大特)
  • 教習指導員資格者証(大自二)
  • 教習指導員資格者証(普自二)
  • 教習指導員資格者証(牽引)
  • 教習指導員資格者証(大型二種)
  • 教習指導員資格者証(中型二種)
  • 教習指導員資格者証(普通二種)

教習指導員の受験資格

教習指導員の受験資格は、21歳以上で、該当する車種の運転免許を所持していることです。

運転経歴は問われませんので、21歳で取得した免許でも問題はありません。

二種の教習指導員を受験する場合は、該当する車種の運転免許証の他にその車種の「一種教習指導員資格者証」が必要になります。

※ただし、各都道府県公安委員会の判断によっては、初心運転者期間(免許取得後1年間)は指導員資格取得ができない場合もあります。

教習指導員になる方法

一般的には、指定自動車教習所に就職して、教習指導員資格の必要ない仕事をしながら専門講習を受講して試験を受け、合格して教習指導員となります。

教習指導員には上位資格「技能検定員」がある

技能検定員とは、教習指導員の上位に位置付けられる資格で、道路交通法第99条の2第4項に基づいて公安委員会から指定を受けて「技能検定員資格者証」を交付された者のことです。

本来都道府県公安委員会が行うべき技能試験の試験官の業務(修了検定、卒業検定、限定解除審査検定の採点)を代行するものです。

そのため、検定業務中は「みなし公務員」の扱いを受けますので、守秘義務があり、受験者から金品等を受け取ったりすると「収賄」などの処罰を受けることがあります。

技能検定員には、教習指導員と同じように11の種類があり、受験資格は、25歳以上で、受験する車種の運転免許及び教習指導員資格者証を所持していることです。

技能検定員になるためには、都道府県の指定自動車教習所協会が行っている「新任技能検定員養成講習」を受講した後、公安委員会の行う試験を受けることが一般的です。

異業種から教習指導員に転職した事例紹介

次に、実際に異業種から転職して教習指導員になった方にお話を聞く機会がありましたので、インタビュー形式で紹介します。

-まず、前職の仕事内容について教えてください。

はい。私は工業高校を卒業してあまり深く考えずにメーカーに就職しました。
仲の良かった友人も回りは皆そうだったので、まったく疑問もなく決めました。
仕事は製造ラインの仕事で、機械相手、モノ相手の仕事で、ほとんど人と話すことがない仕事でした。
最初は仕事を覚えることに一生懸命でしたが、次第に人との関わりのない仕事に疑問を感じるようになりました。

-それで転職を考えるようになったんですか?

考えるようになったというか、そう思い始めたら我慢ができなくなって辞めてしまいました。
人材紹介会社に相談したら、「教習指導員」という仕事があることを知りました。

-いきなり辞めてしまったというのはすごいですね!「教習指導員」の仕事内容についてはどういうイメージを持たれましたか?

私は、特に車好きというわけではありませんでしたが、車の運転をすることは嫌いではありませんでした。
車に関する仕事ということではなく、人と関わっていく仕事、教習生の成長を促して見守っていくという仕事に興味を持ちました。
その後、今勤務している教習所で面接を受けて合格したので、入社することにしました。
当然「教習指導員」の資格は持っていませんでしたが、入社後に会社としての支援体制が整っていることも大きな後押しになりました。

-入社後「教習指導員」の資格はスムーズに取れましたか?

入社後すぐに「教習指導員」の資格を取るための勉強を始めました。
毎日が勉強の連続で、人生で一番勉強したのはこの時だったと思います。
約半年後に普通車の「教習指導員」に合格して、実際に教習指導をすることになりました。
その後、準中型、中型、大型の資格も取得しました。

-「教習指導員」の仕事はイメージ通りでしたか?

教習生の年齢の幅はかなり広いので、本当にいろんな人がいるということを実感します。
一番多いのは、私よりも年下の高校生です。
最初から反抗的な子もいますが、卒業時には「お世話になりました」と言ってくれます。
他人から感謝される仕事ってあまりないと思うのでやりがいを感じています。
また、教習指導員は、教習生を指導するという仕事に加えて、自分自身も常に勉強を続けなければならない仕事なので、気が抜けないというか充実感があります。

-最後に、今後の予定などについて聞かせてください。

教習指導員の11種の資格を全部取得することとと、技能検定員の資格を取りたいと思っています。
今も大型特殊と二種の指導員資格取得にチャレンジしているところです。
資格を取得することによって、自分の仕事の幅が広がることを実感できます。

転職事例から分かった教習指導員の魅力

ご紹介した事例から分かった教習指導員の仕事の魅力には次のようなものがあります。

【1】社会的意義の大きな仕事である

教習指導員は、教習生が卒業後も安全運転を続けることができるように、正しい運転技術と安全意識を責任を持って教えていく仕事です。
この意味からも、社会的意義の大きな仕事だということができます。

【2】人に教えることで自分も成長できる

教えるということは、単に「相手が知らないことを伝える」だけではなく、「どうやれば理解が深まるのか」「正しく理解してもらえるのか」などを常に考える必要があります。
それによって自分自身も成長することができます。

【3】気遣いができるようになる

毎日多くの人と接することが必要なため、相手がどう感じているのかなどを考えて対応を変えたりする必要が出てきます。
相手の気持ちを慮る気遣いができる人間になることができます。

教習指導員は異業種からの転職がしやすい仕事!

この記事では、教習指導員とはどのような仕事なのか、その魅力などについて、実際に異業種から転職した方からのインタビュー内容などをもとに考えてみました。

人と関わってコミュニケーションを取ることが好きな人であれば、どんな業種からでも転職が可能な仕事だということができるでしょう。

国家資格の取得が必要な仕事ですが、自動車教習所に入社後に取得することが一般的になっているようですので、その点についても安心できると思われます。

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