事故率が高い?高齢ドライバーの運転の傾向と安全運転するためのポイントを解説

事故率が高い?高齢ドライバーの運転の傾向と安全運転するためのポイントを解説

最近、高齢ドライバーによる逆走事故や死亡事故などが増加していて大きな社会問題となっているというニュース報道をよく見かけます。

日本では高齢化が進んでいるため、高齢ドライバーが増えて事故率も高くなっていることが予想されますが、実際のところはどうなのでしょうか?

今回は、高齢ドライバーの事故率は本当に高いのかについて検証し、高齢ドライバーの運転の傾向や安全に運転するためのポイントなどについて解説します。

高齢ドライバーの現状は?

総務省の人口推計(2022年6月)と警察庁の運転免許統計(2021年3月)によると、日本の人口と運転免許保有者数の関係は、次の表のようになっています。

人口 運転免許保有者数
人数(万人) 比率(%) 人数(万人) 比率(%)
全体 12,510 100 8,190 100
65歳以上(高齢者) 3,600 29.0 1,930 23.5
75歳以上(後期高齢者) 1,950 15.6 610 7.4

この表から、65歳以上の高齢者の人口比率29.0%に比べると運転免許保有者の比率23.5%は若干少なく、75歳以上の後期高齢者については人口比率15.6%に比べて運転免許保有者の比率7.4%はさらに少なくなっていることが分かります。

また、65歳以上の運転免許保有者数の推移は次の表の通りで、年を追うごとに人数も比率も増え続けており、運転免許保有者の「約4人に1人」は65歳以上の高齢者だということも分かります。

全体 2009年 2019年 2021年
65歳以上(高齢者)の
運転免許保有者数(万人)
1,250 1,890 1,930
全体に占める比率(%) 15.4 22.9 23.5

さらに、2018年の内閣府の調査結果によれば、60歳以上が外出に利用する手段として「自分で運転する自動車」を挙げている人が全国で56.6%に対して、小規模都市や町村では66.8%と高い比率になっています。

また、運転頻度について「ほとんど毎日運転する」のは全国で67.4%、小規模都市で72.9%、町村では75.5%です。

特筆すべきことは、80歳以上の58.7%が「ほとんど毎日運転する」と回答していることで、このことから小規模都市や町村では公共交通機関が発達していないため、高齢者が自分で毎日運転をせざるを得ないという実態があることが分かります。

高齢ドライバーは事故率が高いというのは本当か?

警視庁の資料によると、2021年に発生した交通事故27,598件のうち、65歳以上の高齢ドライバーによる事故は4,370件(15.3%)でした。

65歳以上の高齢者の運転免許保有比率23.5%に対して、65歳以上の高齢ドライバーによる事故比率は15.3%ですから、高齢ドライバーの事故率が高いとは言えません。

高齢ドライバーの事故は出会い頭や追突が上位となっている

引用元:高齢運転者事故の特徴と発生要因

交通事故総合分析センターの資料によれば、高齢ドライバーの事故では、出会い頭と追突が上位になっています。

出会い頭の事故は、交差点での発生が最も多く、その中でも信号機のない交差点で多く発生しています。

追突事故は、前方不注意によって前の車の発見が遅れてブレーキが間に合わなかったり、ブレーキの踏み込みが弱くて停止できなかったりすることが原因となっています。

事故の人的要因はハンドル操作のミスやブレーキとアクセルの踏み間違いが第1位

引用元:内閣府HP

高齢ドライバーの交通死亡事故の人的要因をみると、75歳以上ではハンドルの操作ミスによる事故が最も多く、75歳未満では漫然運転が多くなっています。

また、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故は、75歳未満では死亡事故全体の0.7%に過ぎないのに対して、75歳以上では5.9%と高い比率になっています。

高齢ドライバーに対して現在行われている対策

現在行われている高齢ドライバーに対する代表的な対策は、次の通りです。

【1】高齢者マーク

70歳以上の高齢者が車に付けるマークで、このマークを付けている車に幅寄せや割り込みをすると、道路交通法違反となります。

【2】認知機能検査の実施

75歳以上の高齢ドライバーが免許更新をする際は「認知機能検査」が必須となっており、「認知症のおそれあり」と判断されると専門医の受診が必要になります。

【3】自主返納の働きかけ

高齢ドライバーに対して運転免許証の自主返納を働きかけており、返納後5年以内に申請すれば、「運転経歴証明書」が交付されて本人確認書類として使用することができます。

【4】サポカーの普及啓発

国土交通省・経済産業省・金融庁・警察庁では、自動ブレーキなどの先進安全技術を搭載した「安全運転サポート車」の普及啓発を行っています。

【5】運転技能検査の実施

2020年の道路交通法改正により、75歳以上で一定の違反歴がある高齢ドライバーは、「運転技能検査」に合格しなければ免許の更新ができなくなりました。

高齢ドライバーの運転の傾向

ここでは、多くの高齢ドライバーに見られる運転の傾向について説明します。

【1】長年の運転経験による慣れと過信が見られる

高齢ドライバーは若いころから運転をしてきた経験があることから、身体機能や認知機能の衰えを感じながらも、慣れや過信によって運転しているところが見られます。

【2】反射機能が鈍くなり、危険を察知した後の行動が遅れる

加齢によって、危険を察知した後に素早く適切な行動を取る「反射機能」が鈍くなります。

別の言い方をすれば「分かっているけど身体がいうことをきかない」という状態です。

全国の満65才以上の運転免許保有者1,092人に対するアンケートでは、約半数の人が「若いころに比べてとっさの行動や複雑な動作がスムーズにできないようになった」と答えています。

【3】認知判断能力が低下して「ぼんやり」とした漫然運転が増える

加齢によって認知能力が低下してくると「ぼんやり」とした時間が増えると言われており、運転中であれば漫然運転につながります。

このような状態では、昔ながらのやり方や昔のルールを当たり前と感じて、状況判断を間違えてしまうことになります。

高速道路などでの逆走も、中央分離帯までが一つの道路と誤認識して、「対面通行」しているつもりで「逆走」になってしまったものと考えられます。

高齢ドライバーが安全運転をするためのポイント

内閣府の調査でも、60歳以上の約2/3の人が毎日運転し、80歳以上でも半数以上が毎日運転するという実態が分かっています。

そこで、高齢ドライバーが安全に運転するために注意すべきポイントを紹介します。

ポイント1:定期的に眼科検診を受ける

加齢によって、視野が狭くなったり欠損したりすることがありますが、自覚症状がない場合もありますので、定期的に眼底検査を含めて眼科検診を受けることが必要です。

そして問題が見つかった場合は、早めに治療をするようにしましょう。

ポイント2:見通しの悪い交差点や信号のない交差点では一時停止をし、安全確認を行ってから通過する

高齢ドライバーの特徴として、自分の運転技術を過信してしまうことが挙げられます。

自分だけは大丈夫という思い込みを止めて、見通しの悪い交差点や信号のない交差点では、必ず一旦停止をして十分に安全確認を行ってから通過するようにしましょう。

ポイント3:車間距離を十分にとって余裕を持って停止・発進する

加齢によって、反射機能や運動機能が衰えてきて、危険に気がつくのに遅れたり、気がついても体がついていかなかったりすることが起こります。

たとえば、前の車の急ブレーキに対応できずに追突してしまうような事故につながります。

前の車との車間距離を十分にとることはもちろん、信号や一旦停止の場所でも余裕をもって停止したり発進したりするようにしましょう。

ポイント4:常に「かもしれない運転」を心がける

運転中の状況変化を瞬時に把握して判断する能力が、加齢とともに衰えてきます。

「物陰から車が飛び出してくるかもしれない」「この車間距離だと前の車の急ブレーキに間に合わないかもしれない」などの「かもしれない運転」を常に心がけて、事故につながる要因を前もって排除するようにしておきましょう。

身体機能や視力の低下が事故を招く!自分を過信しすぎず運転することが重要!

加齢によって身体機能や視力などが低下していることは分かっていても、公共交通機関が発達していないことなどから、毎日運転しなければならない高齢ドライバーが多いことが分かっています。

長年の運転経験から「自分だけは大丈夫」というように自分を過信しすぎることなく、安全運転を心がけることが大切です。

高齢ドライバーの交通死亡事故の人的要因をみると、75歳以上ではハンドルの操作ミスによる事故が最も多く、75歳未満では漫然運転が多くなっています。

また、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故は、75歳未満では死亡事故全体の0.7%に過ぎないのに対して、75歳以上では5.9%と高い比率になっています。

併せて読みたい:高齢者講習は何をする?何歳から受ける?内容や料金、ルールを徹底解説

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